川崎市ホームレス支援実施計画への提言(2014年3月)

土肥研究室では、「第3期　川崎市ホームレス自立支援実施計画(案)」について、川崎市へパブリックコメントとして提言を行いました。

■川崎市へのパブリックコメントを行った経緯これまで土肥研究室では、ホームレスのためのトータルサポートの実現に向けて、国内外でのホームレス支援政策の調査・研究を行ってきました。とくに国内においては、川崎市のホームレス・データベース構築を行うなど、ＮＧＯの方とともに川崎市のホームレス支援に深く関わってきました。川崎市では５年ごとに「川崎市　ホームレス自立支援実施計画」を策定していますが、今年度よりその第２期計画を第３期計画へと改定するにあたり、市の担当課にてパブリックコメントを募集していました。それに伴って昨年度に公開された第３期計画(案)の内容は、第２期計画とは大きく異なるものとなっていました。第２期計画は、高い人権意識やトータルサポートの実現のために全体性を意識した支援策の配置がみられるなど、全国の諸都市が策定するホームレス自立支援計画の中でも先進的なものとして注目を集めていました。ところが、公開された第３期計画(案)はそうした人権意識への言及やトータルサポートを意識した全体構造が失われたものとなっていることがわかりました。そこで、土肥研究室では新旧計画の分析を独自で行い、川崎市でホームレス支援を行ってこられた方とともにパブリックコメントとして市へ提言を行うこととしました。詳細は後述しますが、結果としてわたしたちの提言に対して川崎市側の真摯な対応は見られず、また十分な審議もされないまま第３期計画は策定に至りました。以上のように、今回わたしたちが行ったパブリックコメントは十分有効活用されずに計画が策定されました。パブリックコメント制度が形骸化している点や、こうした第3期計画が今後施行されることに対しわたしたちは大きな不安を覚えるところでありますが、わたちは今後も、ホームレスの人々に対するトータルサポートを実現し彼らを社会に包摂するためにＮＧＯや市民の方と協働で取り組んでいきます。 2014年5月12日東京工業大学　土肥研究室